建ててから、あるいは前に一度塗装してから、気がつけば20年という月日が経っていた。日々の忙しさにかまけて、家の外壁のことなどすっかり忘れていた、という方は少なくないかもしれません。しかし、その「見て見ぬふり」が、家の寿命を静かに縮めている可能性があります。
一度、ご自宅の外壁をゆっくりと眺めてみてください。以下のようなサインが見られたら、それは外壁が限界を迎えつつあるという、家からの重要なメッセージです。
・外壁を手で触ると、チョークのような白い粉がつく
・日当たりの悪い北側の壁に、緑色のコケや黒いカビが生えている
・壁に細かいひび割れや、蜘蛛の巣のような亀裂が入っている
・窓やドアの周りのゴム状の素材(シーリング)が、硬くなっていたり、ひび割れていたりする
・塗装が色あせて、新築の頃より明らかに薄くなったと感じる
・塗装の表面が、風船のようにプクッと膨れている箇所がある
これらの症状は、紫外線や雨風から家を守ってきた塗膜が、その役目を終えつつある証拠です。特に20年という節目は、家の耐久性にとって大きな分岐点となります。ここで適切な手当てをするか、さらに放置してしまうかで、この先の家の寿命、そして将来かかる費用が大きく変わってきてしまうのです。
■20年放置した外壁はどうなる?劣化レベル別に見る3つの処方箋と費用相場
20年間、厳しい自然環境にさらされ続けた外壁は、見た目以上に深刻なダメージを負っていることがあります。その劣化の進行度合いによって、必要な工事の内容と費用は大きく異なります。ご自宅がどのレベルに当てはまるか、一つの目安として確認してみてください。
・レベル1:塗装で対応可能な段階
症状としては、主に色あせや、手で触ると白い粉がつく「チョーキング現象」が見られます。これは塗膜の表面が劣化しているサインですが、外壁材そのものに大きなダメージは及んでいません。この段階であれば、高圧洗浄で汚れを落とし、下地処理を丁寧に行った上での「塗り替え工事」で、新築時のような保護機能を取り戻すことが可能です。費用相場は一般的な30坪程度のお住まいで80万円〜150万円、工期は2週間前後が目安となります。
・レベル2:部分補修+塗装が必要な段階
外壁に幅0.3mm以上のひび割れ(クラック)が見られたり、窓枠周りのシーリングが痩せて隙間ができていたりする状態です。このひび割れや隙間から雨水が侵入し始めると、建物の構造に影響を与えかねません。そのため、塗装の前にひび割れを埋める補修や、古いシーリングを撤去して新しく打ち替える工事が必須となります。費用はレベル1の塗装費用に加え、補修範囲に応じた追加費用がかかります。
・レベル3:大規模修繕が必要な段階
ひび割れから長年雨水が侵入し、外壁材の内部が腐食したり、雨漏りが発生したりしている最も深刻な状態です。この段階になると、単なる塗装では解決できません。劣化した外壁材を部分的に、あるいは全面的に張り替える「カバー工法」や「張り替え工事」が必要となる場合があります。費用は数百万円に及ぶこともあり、工期も長くなります。ここまで進行する前に手を打つことが、いかに重要かお分かりいただけるかと思います。
■なぜ放置すると費用が跳ね上がるのか?見積書ではわからない「隠れコスト」の正体
「同じ30坪の家なのに、なぜ20年放置した家だと見積もりが高くなるの?」と疑問に思うかもしれません。その理由は、見積書の項目に一つ一つ書かれるわけではない、「下地処理」にかかる手間と時間、つまり「隠れコスト」にあります。
例えば、塗装工事の前には必ず高圧洗浄で壁の汚れを落とします。しかし、20年分の汚れやコケ、カビは想像以上に頑固です。通常の洗浄時間では落としきれず、作業時間が長引いたり、場合によっては特殊なバイオ洗浄用の薬品が必要になったりします。
また、劣化が進んだ外壁は、塗料をまるでスポンジのように吸い込んでしまいます。これは、本来であれば外壁の表面で家を守るはずの塗料が、壁の内側にどんどん吸収されてしまう状態です。そのため、メーカーが定める規定の塗布量よりも多くの塗料を使わなければ、適切な厚みの塗膜を形成できません。当然、塗料の使用量が増えれば、その分材料費も上がります。
さらに、無数の細かいひび割れの補修や、劣化したシーリングの撤去作業など、一つ一つの地味な作業に膨大な時間がかかります。これら全てが、職人の人件費として最終的な費用に反映されるのです。誠実な業者は、なぜこの作業が必要で、なぜこの費用になるのかをきちんと説明してくれます。単に「一式」と書かれた見積書ではなく、こうした背景まで理解しておくことが、適正な価格で質の高い工事を行うための第一歩となります。
■「あの時こうすれば…」20年放置した人が陥りがちな3つの致命的な失敗
「もっと早く相談すればよかった…」これは、20年以上外壁を放置してしまった方が、工事後に口を揃えておっしゃることです。長年の不安から焦りが生まれ、冷静な判断ができなくなってしまうことで、後悔の残る結果を招いてしまうケースが後を絶ちません。同じ轍を踏まないために、典型的な失敗パターンを知っておきましょう。
1つ目は、「価格の罠」です。「とにかくこの不安から解放されたい」「費用は少しでも安く抑えたい」という心理が働き、複数社から見積もりを取った際に、一番安いという理由だけで業者を決めてしまう失敗です。しかし、塗装工事の品質は、価格と比例する部分が大きいのが現実です。極端に安い見積もりは、必要な工程(例:3回塗りが基本のところを2回で済ませる)を省いていたり、耐久性の低い塗料を使っていたりする可能性があります。その結果、数年で塗装が剥がれてしまい、結局再工事で余計な費用がかかってしまうのです。
2つ目は、「先延ばしの罠」です。劣化のサインに気づいていながらも、「まだ大丈夫だろう」「まとまったお金がないから」と問題を先送りにしてしまうケース。しかし、建物の劣化は待ってくれません。最初は塗装だけで済んだはずの小さなひび割れが、数年後には雨漏りを引き起こし、壁の内部や柱まで腐食させてしまうこともあります。そうなると、数百万円規模の大規模な修繕が必要となり、まさに安物買いの銭失いならぬ、「先延ばしの大損」となってしまいます。
3つ目は、「知識不足の罠」です。訪問販売などで「今すぐ工事しないと大変なことになりますよ」と不安を煽られ、冷静に考える間もなく契約してしまう失敗です。言われるがままに契約した結果、本当に必要な工事だけでなく、不必要な高額なオプションまで含まれていた、というケースも少なくありません。
これらの失敗を回避するには、焦らず、複数の専門家の意見を聞き、ご自身が納得できる説明をしてくれる業者を慎重に選ぶことが何よりも大切です。
■20年分の不安を解消する、本当に信頼できる専門家の見つけ方
DIYでの塗装や、安さだけを売りにする業者に依頼するのは、20年間放置した外壁にとっては非常にリスクが高い選択です。では、どこに頼めば、この長年の不安を本当に解消してくれるのでしょうか。後悔しないために、以下の5つの条件を満たす専門家を探すことをお勧めします。
その土地の気候を熟知しているか?
例えば、雪が多く、寒暖差の激しい北海道のような地域と、一年中温暖な地域とでは、外壁が受けるダメージの種類が全く異なります。その土地の気候特性を深く理解し、最適な塗料や工法を提案してくれる地域密着の業者は信頼できます。
家の状態を分かりやすく説明してくれるか?
ただ見積もりを出すだけでなく、なぜこの工事が必要なのか、専門用語を使わずに素人にも分かるように丁寧に説明してくれることが重要です。ドローンなどを使って屋根の上など普段見えない場所の状態まで診断し、写真を見せながら具体的に説明してくれる業者であれば、より安心です。
自社の職人が責任を持って施工しているか?
契約だけを取り、実際の工事は下請け業者に丸投げ、という会社も存在します。できれば、研修を受けた自社の専属職人が、責任とプライドを持って施工にあたってくれる体制が理想です。
見積もりの根拠が明確か?
「一式」といった曖昧な項目でなく、「〇〇という作業に、何日かかり、単価はいくら」というように、費用の内訳が詳細かつ明確に記載されている見積もりを提出してくれる業者は、透明性が高く信頼できます。
施工後の保証やアフターフォローは万全か?
工事が終われば関係も終わり、ではありません。長期的な保証はもちろん、定期的に点検に来てくれるなど、施工後も末永く家の健康を見守ってくれるパートナーこそが、本当に選ぶべき専門家です。
また、優れた専門家は、外壁だけでなく、屋根やベランダなど、家全体の健康状態を総合的に診断してくれます。外壁塗装で足場を組むタイミングは、普段は難しい高所の点検や補修を行う絶好の機会でもあります。もし屋根にも劣化が見られる場合は、同時に工事を行うことで足場代を一度で済ませられ、結果的にトータルコストを大きく抑えることができます。まずは家全体の状態を診断してもらい、どこまで手を入れるべきか相談してみてはいかがでしょうか。
より詳しいリフォームの選択肢については、こちらのページでご紹介しています。
https://www.homejyukou.net/reform
■不安な毎日から抜け出すための、今日からできる最初のステップ
ここまでお読みいただき、20年間外壁塗装をしてこなかったことのリスクと、今すぐ行動することの重要性をご理解いただけたかと思います。
大切なのは、「20年も放置してしまった…」と過去を悔やむことではありません。「このままだと危ないかもしれない」と、今、気付けたことです。その気づきこそが、あなたの大切な住まいの寿命を延ばすための、最も重要な一歩となります。
これ以上、「うちの壁は大丈夫だろうか」「ある日突然、莫大な修理費用を請求されたらどうしよう」と、見えない不安を抱えながら毎日を過ごすこと。それこそが、精神的にも、そして将来的には金銭的にも、最も大きなコストと言えるのかもしれません。
この不安な毎日から抜け出すための、最も確実で、賢明な最初のステップ。それは、まず「我が家の今の状態」を、専門家の目で正確に把握してもらうことです。多くの専門業者が、無料での診断を行っています。
専門家に見てもらうことで、まだ塗装だけで対応できる段階なのか、それとも早急な補修が必要なのかがはっきりします。それだけでも、心の重荷は軽くなるはずです。まずは話を聞いてみる、相談してみるという小さな行動が、この先の20年、安心して暮らせる未来へと繋がっています。
会社の姿勢やお客様への想いを大切にし、あなたの不安に真摯に寄り添ってくれる専門家がきっと見つかるはずです。
まずはお気軽にお問い合わせいただき、長年の悩みをお聞かせください。